イタリアのメディアによると、前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の聖人化プロセスのテンポがスロー・ダウンしてきたという。その理由として、日刊紙ジョルナレは26日付で「ヨハネ・パウロ2世の列福に不可欠な奇跡の証が疑わしくなってきたからだ。そのため、来年4月の列福式が非現実的となってきた」と報じた。
これまで奇跡の実例としてフランス修道女がヨハネ・パウロ2世の死の直後、パーキンソン病が直ったという報告が伝えられてきたが、修道女を検診した医者は「修道女がパーキンソン病だったという報告は疑わしい」と述べたのだ。
現在はパリで看護師として働いている修道女は、2002年からパーキンソン病に苦しんできたが、05年4月にヨハネ・パウロ2世に祈ったところ病気が治ったと証言した。この奇跡の証はヨハネ・パウロ2世の列福で貴重な役割を果たすことになっていたのだ。
後継法王のべネディクト16世は05年6月28日、前法王の列福調査開始を宣言した。通常、列福調査は本人の死後、5年が経過してから始まるが、「特例」だったわけだ。前法王は現在、「尊者・神の僕」の段階で、列福が前進するためには「奇跡の承認」が必要となるのだ。
ヨハネ・パウロ2世の列福プロセス担当者は「修道女の報告を今後詳細に調査するか、さもなければ、別の奇跡の実例を探すことになる」という。
同2世の列福プロセスがスロー・ダウンしてきたもう一つの理由は、ヨハネ・パウロ2世の27年間余りの在位時代(在位1978年〜2005年)、聖職者の未成年者への性的虐待問題が多発していることだ。すなわち、同2世は聖職者の未成年者への性的虐待を隠蔽してきた疑いが浮上しているのだ。
当方はこのコラム欄で「ヨハン・パウロ2世の『問題』」(10年4月29日)を書いたが、聖職者の性的虐待問題の多くはアイルランド教会でもドイツ教会でも主に1980年、90年代に集中している。オーストリアのカトリック教会最高指導者グロア枢機卿が教え子に性的犯罪を犯した不祥事は1995年だった。すなわち、ポーランド出身のヨハネ・パウロ2世時代に生じているのだ。特に、修道会「キリスト軍団」創設者で、未成年者へ性的虐待を繰り返してきた疑いがもたれたメキシコ出身のマルシャル・マシエル・デゴラード神父との関係は深刻だ。同神父の性的虐待問題はバチカン側に報告されたが、ヨハネ・パウロ2世は当時、それを無視したという情報があるからだ。
べネディクト16世が特例として開始を指令した前法王ヨハネ・パウロ2世の列福調査がバチカンにとって次第に“重荷”となってきたのだ。
【短信】 バチカン、非常駐大使をベトナム
バチカン放送(独語電子版)によると、ローマ法王べネディクト16世はベトナムに非常駐のバチカン大使(法王大使)を派遣する。これは今月23日から2日間、ローマで開催された両国間交渉の最終コミュニケの中で明らかになった。べネディクト16世は「これは両国関係正常化への第一歩」と評価している。
バチカンとベトナム両国は1975年以来、外交関係が途絶えてきた。
これまで奇跡の実例としてフランス修道女がヨハネ・パウロ2世の死の直後、パーキンソン病が直ったという報告が伝えられてきたが、修道女を検診した医者は「修道女がパーキンソン病だったという報告は疑わしい」と述べたのだ。
現在はパリで看護師として働いている修道女は、2002年からパーキンソン病に苦しんできたが、05年4月にヨハネ・パウロ2世に祈ったところ病気が治ったと証言した。この奇跡の証はヨハネ・パウロ2世の列福で貴重な役割を果たすことになっていたのだ。
後継法王のべネディクト16世は05年6月28日、前法王の列福調査開始を宣言した。通常、列福調査は本人の死後、5年が経過してから始まるが、「特例」だったわけだ。前法王は現在、「尊者・神の僕」の段階で、列福が前進するためには「奇跡の承認」が必要となるのだ。
ヨハネ・パウロ2世の列福プロセス担当者は「修道女の報告を今後詳細に調査するか、さもなければ、別の奇跡の実例を探すことになる」という。
同2世の列福プロセスがスロー・ダウンしてきたもう一つの理由は、ヨハネ・パウロ2世の27年間余りの在位時代(在位1978年〜2005年)、聖職者の未成年者への性的虐待問題が多発していることだ。すなわち、同2世は聖職者の未成年者への性的虐待を隠蔽してきた疑いが浮上しているのだ。
当方はこのコラム欄で「ヨハン・パウロ2世の『問題』」(10年4月29日)を書いたが、聖職者の性的虐待問題の多くはアイルランド教会でもドイツ教会でも主に1980年、90年代に集中している。オーストリアのカトリック教会最高指導者グロア枢機卿が教え子に性的犯罪を犯した不祥事は1995年だった。すなわち、ポーランド出身のヨハネ・パウロ2世時代に生じているのだ。特に、修道会「キリスト軍団」創設者で、未成年者へ性的虐待を繰り返してきた疑いがもたれたメキシコ出身のマルシャル・マシエル・デゴラード神父との関係は深刻だ。同神父の性的虐待問題はバチカン側に報告されたが、ヨハネ・パウロ2世は当時、それを無視したという情報があるからだ。
べネディクト16世が特例として開始を指令した前法王ヨハネ・パウロ2世の列福調査がバチカンにとって次第に“重荷”となってきたのだ。
【短信】 バチカン、非常駐大使をベトナム
バチカン放送(独語電子版)によると、ローマ法王べネディクト16世はベトナムに非常駐のバチカン大使(法王大使)を派遣する。これは今月23日から2日間、ローマで開催された両国間交渉の最終コミュニケの中で明らかになった。べネディクト16世は「これは両国関係正常化への第一歩」と評価している。
バチカンとベトナム両国は1975年以来、外交関係が途絶えてきた。