ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2009年12月

オーストリア・北、国交35周年

 オーストリア・韓国両国は昨年、外交関係樹立45周年を迎え、それを記念する行事が両国の各地で挙行されたが、今年12月で北朝鮮とオーストリア両国は国交樹立35周年を迎えた。
 オーストリアと李氏朝鮮は1892年、友好貿易協定を締結したが、その後、オーストリアは帝国時代の終焉、2度の世界大戦を経験する一方、コリアは日本による併合、解放と南北分断、韓国動乱という試練を経て今日に到っている。
 南北分断後、オーストリアは1963年5月、韓国と外交関係を樹立し、その11年後の1974年12月、北朝鮮と外交関係を結んだ。
 駐オーストリアの北朝鮮大使館(金光燮大使)は今月16日、オーストリアとの国交樹立35周年を記念して祝賀会を開催した。というか、開催したらしい。
 この自信のなさは、当方が後日、同祝賀会開催を聞いたからだ。目撃もしていないし、招待された知人も結局、参加しなかったというから、確認できない以上、「開催されたらしい」と書かざるを得ない。
 「くどくどと弁明するな」と叱責されるかもしれないが、目撃したか、それとも聞いただけか、で情報の信頼性は異なる。目撃した場合、それが通常ではなく、異常なことでも自信をもって書くことができる。そうでない場合、どうしても腰が引けてしまうのだ。
 さて、オーストリア外務省関係者が招待された可能性があると考え、外務省報道官に電話を入れたが、「担当官に聞いてみるから、君の携帯電話を教えてくれ」というだけで、このコラムを書いている時点で返答はない。ひょっとしたら、オーストリア外務省アジア局関係者はクリスマスのプレゼントを買うのに忙しく、今月で北朝鮮との国交35周年を迎えたという事実すら忘れていたのではないか。
 昨年、オーストリアは韓国との国交45周年をかなり盛大に祝った。今年は日本との修好140周年であったので、オーストリアからフィッシャー大統領が日本を訪問したばかりだ。韓国との45周年を祝いながら、北朝鮮との35周年を祝わないでは、外交上、少し拙いだろう。きっと、オーストリア外務省から律儀な担当官が参加したはずだ、と信じたい。
 当方も遅まきながら、当コラム欄で「オーストリア・北修好35周年おめでとう」と書き記しておく。

東アジアの近未来を占う

 鳩山政権の“対中国ご機嫌取り”政策と米軍普天間飛行場の移籍先決定の先送りで表面化してきた対米関係悪化をみていると、鳩山政権が抱く東アジア地域の青写真が次第に浮かび上がってくる。同時に、懸念が湧いてくる。
 東アジアの近未来図を考えてみた。極東シベリア地域の中国の影響力の拡大を懸念するロシアは、中国の軍事力増強を警戒する米国に接近し、米ロ両国の対中包囲網を構築していくだろう。
 その際、朝鮮半島の動向が要となる。まず、韓国は経済的、歴史的理由から安易に中国に傾斜していく可能性が考えられる。その点、同民族とはいえ、北朝鮮の対中感情は好対照だ。中国は6カ国協議でも北を直接、間接的に支援してきたが、北朝鮮の対中スタンスは現実的、実務的だ。忘れてはならない点は、金正日労働党総書記の中国嫌悪感、警戒心は非常に強いことだ。
 ちなみに、北の対中感情には、歴史的背景が考えられる。現在の北朝鮮に位置していた高句麗は中国の王朝と絶えず対立してきた。そして西暦668年、新羅と唐の連合軍の攻撃を受け、崩壊している。隣国・中国と国境を接しているだけに、北の対中感情は複雑だ。最近では、高句麗遺跡の世界文化遺跡登録問題で中国と北朝鮮両国は激しく対立した。中国は高句麗を中国辺境史の一部と主張してもいる。
 米国が近い将来、北朝鮮を戦略パートナーとみなし、対中国政策で歩調を合わせる可能性が考えられる。米朝交渉の評価も異なった尺度からみなければならなくなる。
 問題は日本と韓国の立場だ。鳩山政権の動きを見る限り、日本が中国側に組み込まれることもあり得る。韓国の場合、国民の中に反米意識が年々強まってきていることが不安材料だ。
 東アジア地域の発展は、米ロと北朝鮮、それに日韓が加わった5カ国が連係し、中国社会の解放と国際社会への統合促進に寄与できるかどうかにかかっているが、5カ国のうち、韓国と日本両国の「国家の指針」がいま、揺れ出している。

バチカン、ミリンゴ大司教を追放

 ローマ・カトリック教会総本山、バチカン法王庁は17日、聖職者の独身義務を破棄して結婚し、法王の許可なく聖職者を司教任命したとしてローマ法王ベネディクト16世から2006年9月26日に破門宣言を受けたザンビア出身のエマニュエル・ミリンゴ大司教に対し、「正式に聖職を完全剥奪し、還俗を強行する」と明らかにした。
 ミリンゴ大司教は今後、礼拝もサクラメントも実施できないほか、聖職者用の礼服着用も禁止される。異例の制裁処置だ。
 エクソシストとして世界的に有名な聖職者・ミリンゴ大司教(78)は2001年、世界基督教統一神霊協会(通称、統一教会)の祝福式に出席し、韓国人女性と結婚した。06年にはローマ法王の認知を受けずに4人の聖職者を司教に任命している。
 それを受け、バチカン側は同大司教の破門宣言を表明する一方、「大司教が悔い改め、カトリック教会に戻ってくるのを待つ」として、追加制裁をこれまで保留してきた。
 それに対し、大司教は破門後も「自分は依然、カトリック教会の聖職者だ」と主張し、礼拝や悪魔払いなど聖職を実施。「聖職者の結婚こそ、教会の性モラルを回復できる唯一の道だ」として、聖職者の独身制廃止運動を世界的に推し進めてきた。
 ミリンゴ大司教の結婚に衝撃を受けたベネディクト16世は06年11月、幹部会会議を緊急招集し、「聖職者の独身制」の堅持を再確認する一方、07年3月13日には世界のカトリック信者に向けて「愛のサクラメント」と呼ばれる法王文書を公表し、その中で「神父に叙階された聖職者はキリストと完全に同じでなければならない。独身制は言い表せないほどの価値ある財産だ」と主張、独身制を弁護してきた。
 ちなみに、ローマ・カトリック教会の神父が結婚などを理由に聖職を断念した数は1964年から2004年の40年間で約7万人といわれている。

旧東独国民が欧州で最も世俗的

 独ニュルンベルク市の世論調査所が約2000人の男女を対象に実施した宗教意識調査結果によると、2人に1人は自身を教会信者と考えているが、実際に教会を訪れる信者数は限られているという。具体的には、10人に1人だけが毎週の日曜日礼拝を訪れ、3人に1人がクリスマスやイースターなど教会祝日だけ教会に足を向ける。
 別の「欧州人価値観調査」によると、旧東独国民が最も世俗的な欧州人であるという結果が出ている。旧東独時代、共産政権の崩壊、民主化運動を主導したのはライプツィヒの福音教会を中心とした知識人たちだった。それが、ドイツの再統合後、旧東独の福音教会は信者がいなくなり、ほとんど消滅状態だ。それに代わって、旧東独地域では犯罪増加や過激民族派運動が台頭してきている。
 ドイツでは昨年度、新旧両教会合計29万56人が脱会したという。この数は前年度比で29・5%増。新教会では16万8901人で、前年度比で29・6%増、カトリック教会は12万1155人で29・3%増と、両教会とも脱会者が急増している(ドイツ教会では1990年以来、約200万人の信者が教会を去った)。
 信者数が減少すれば、教会税で運営している教会に影響が出てくるのは当然だ。その結果、教会資産の切り売りなどに追い込まれる処も出てきている。
 ドイツ教会の信者離れ現象の背景には、聖職者の性犯罪多発とそれに伴う教会への信頼失墜がある。その上、ここにきて教会税の節約が実質的な教会脱会の動機というケースが増えてきた。特に、高所得者や都会居住者に脱会者が多いという。
 いずれにしても、欧州連合(EU)の盟主ドイツの国民の宗教意識は社会の世俗化の影響もあって年々希薄化してきたわけだ。
 ちなみに、ドイツのローマ・カトリック教会ケルン大司教区のマイスナー枢機卿は昨年、「『キリスト教民主同盟』(CDU)はもはやカトリック教徒にとって絶対支持しなければならない政党ではなくなりつつある」と指摘し、キリスト教を看板に掲げてきた与党CDUがその宗教理念を失いつつあると警告を発している。
 大袈裟に表現すれば、ドイツ国民は今日、単に金融危機だけではなく、精神的危機にも直面している、といえるだろう。

権栄緑氏の公判は新年明けに?

 北朝鮮最高指導者・金正日労働党総書記の高級品調達人、権栄緑氏はオーストリアの企業を通じてイタリアのヨット製造会社に金正日総書記用の高級ヨットを注文したが、取引きが今夏、発覚し、水泡に帰してしまった。
 ウィーン検察庁は権氏とオーストリア貿易業者を、北朝鮮に贅沢品の輸出を禁止した国連安保理決議1718号を無視し外国貿易法を違反したとして起訴したが、公判はウィーン地裁ではなく、コールンノイブルク(Kornneuburg)地裁で行われることになったという。
 ちなみに、権氏に関しては、当コラム欄で「北の戦士、権栄緑氏の『孤独』」(2009年8月7日)で紹介済みだ。参考にして欲しい。
 当方はこれまで権氏の公判日程をキャッチするために、ウィーン検察庁報道官に定期的に電話してきたが、その度に、「イタリアからの資料がまだ届いていない」という理由で公判時期が未定、という返答をもらった。それが12月に入って、「ウィーンではなく、コールンノイブルクで公判が始まることになった」という。
 そこで当方はコールンノイブルク地検報道官に電話して公判開始時期を聞くと、「この件はウィーンだ」という。首を傾げながら、当方は知人のウィーン地検報道官に再度確認を取ると、「ウィーンではなく、コールンノイブルクだ」というではないか。
 地検関係者が当方を意図的にからかっているのではないか、と疑ったほどだ。幸い、16日になって、コールンノイブルク地検報道官が「資料が数日前、ウィーンから届いた。資料に目を通さなければならないから、公判開始はクリスマス明けだろう」という。すなわち、同報道官は前日の発言を翻し、権氏の公判がコールンノイブルク地裁で始まると認めたわけだ。
 オーストリアでは地検関係者や裁判所関係者はジャーナリストの質問に対し、簡単に虚言するのだろうか。それとも、裁判が北朝鮮絡みだけに、政治的圧力があるのだろうか。いろいろと考えさせられた。

バシル大統領の「不安」の日々

 アフリカ最大の国土を誇るスーダンで来年4月、総選挙と共に大統領選が実施される。ハルツームからの情報では今のところ候補者は現職のオマル・ハッサン・アハメド・バシル大統領(65)1人だ。
 ところで、バシル大統領の大統領選にかける執念は並々ならないものがあるという。大統領で落選したならば、国際刑事裁判所(ICC、本部オランダのハーグ)によってダルフール紛争の責任を問われ、逮捕される恐れが現実味を帯びるからだ。ICCは今年3月、バシル大統領にダルフール大量虐殺容疑で逮捕状を出している。
 バシル大統領が落選し、新大統領が就任した日には同国の政情は全く変化することが予想される。新大統領は欧米諸国からの圧力に屈し、バシル氏をハーグに送る可能性が考えられる。
 そのことを誰よりも理解しているバシル氏は大統領選に敗北できないわけだ。だから、大統領とその側近は大統領選に勝利するためにあらゆる手段を駆使するだろう。偽投票紙などが今から囁かれているほどだ。
 一方、2011年の分離独立を問う住民投票を控える南部国民が大統領選をボイコットすることも考えられる。南部では「南部出身の初代大統領を選出したい」という願いをもつ国民が少なくない。
 一方、アフリカ連合(AU)や中東諸国はバシル大統領へのICCの逮捕状を拒否しているが、いつまでもそのような状況が続く保証はない。
 トルコのイスタンブールで11月、イスラム諸国会議機構(OIC)経済商業協力委員会の首脳会談が開催されたが、バシル大統領は逮捕を恐れて欠席した。バシル氏が大統領ポストに留まっている限り、スーダンの外交は制限される、といった懸念の声が国内からも聞こえてくる。
 いずれにしても、来年4月の大統領選までバシル大統領は安眠できない、不安の日々が続くわけだ。

アイルランド教会聖職者の性犯罪

 ローマ・カトリック教会の総本山、バチカン法王庁で11日、ローマ法王べネディクト16世を中心にアイルランド教会司教会議議長ショーン・ブラディ枢機卿、バチカン国務長官タルチジオ・ベルトーネ枢機卿らが集まって緊急首脳会合が開かれた。テーマはアイルランド教会聖職者が過去、30年間に渡り、数百人の未成年者へ性犯罪を繰り返してきたという問題だ。
 ダブリン大司教区聖職者の性犯罪を調査してきた政府調査委員会は11月、その調査内容を公表し、大きな衝撃を与えた。同国のダーモット・アハーン法相は「性犯罪に関与した聖職者は刑罰を逃れることはできない」と指摘、調査が進めば、聖職者の中に逮捕者が出ることもあり得ると述べている。調査対象は1975年から2004年の間で生じた聖職者の性犯罪だ。
 ところで、アイルランド教会聖職者の性犯罪問題は、残念ながら決して特殊な例ではない。べネディクト16世の出身国ドイツの教会も米国教会も聖職者の性犯罪は後を絶たない。米国教会では犠牲者への賠償金支払いで教会を売り出すところも出ている。
 聖職者の性犯罪問題は程度の差こそあれその独身制と係わってくるだろう。すなわち、聖職者の独身制の是非を問わざるを得なくなる。
 ベネディクト16世は2006年11月、幹部会会議を開催し、「聖職者の独身制」の堅持を再確認し、「神父に叙階された聖職者はキリストと完全に同じでなければならない。独身制は言い表せないほどの価値ある財産だ」と主張、独身制の意義を強調している。
 キリスト教史を振り返ると、4世紀に聖職者の結婚は禁止されたが、1651年のオスナブリュクの公会議の報告によると、当時の聖職者は特定の女性と内縁関係を結んでいたことが明らかになっている。カトリック教会の現行の独身制は1139年の第2ラテラン公会議に遡る。聖職者に子女ができて遺産相続問題が生じないために、教会の財産保護という経済的理由が背景にあったといわれる。
 聖職者の独身制を廃止し、家庭を持つことができるようになったとしても、聖職者の性犯罪が完全に無くなるわけではないが、不自然な性衝動に駆られる聖職者は少なくなるだろう。
 ローマ・カトリック教会の神父が結婚などを理由に聖職を断念した数は1964年から2004年の40年間で約7万人という。その中の1人、オーストリアのカトリック教会ウィーン大教区の神父であったマーティン・ダイニンガー氏(45)は14年前にベルギー出身のクリスティーネさんと結婚した。今は子供も出来、幸せな家庭を築いている。
 同氏は「神父時代、神が結婚を願われているとは考えてもいなかった。しかし、神は、われわれが立派な男性と女性となり、調和した家庭を築くことを願われていると知った。私は妻との関係を通じて、神に再び出会った。私は昔、良心を通じて神を感じてきたが、今は妻を通じて神を感じている。その感覚は良心を通じて感じるより以上に激しく、強いものだ。それは驚きであった。私はもはや1人で神の前に出て行くのではなく、妻を通じて神の前に出て行く。結婚を通じて、神は私により近い存在となった」と述べている。
 元神父のこの証をバチカン関係者はどのように受け止めるか、一度聞いてみたいものだ。

権利の「要求」とその「保留」

 スイスで先月29日、イスラム寺院のミナレット(塔)建設禁止を問う国民投票が実施され、建設禁止が約57・5%の支持を得て可決された。
 その直後、アラブ諸国やイスラム諸国から「欧州のイスラム・フォビア(イスラム嫌悪)だ」といった批判が聞かれる一方、スイスではイスラム政党の設立の動きも出てきた。
 欧州のイスラム信者の動きやキリスト教会の反応を取材している中、「その通りだ」と共感した意見があった。紹介する。
 独ヘッセン州のブフィエール内相(CDU)は新聞インタビューの中で、「欧州のイスラム信者たちはミナレット建設では慎重な対応が求められる。あなた方はミナレット建設の権利はあるが、ドイツ国民に過大な要求をすることは賢明ではない。街や村の雰囲気を支配する高いミナレットは市民や村人にイスラム化への恐怖を誘発するだけだ」と指摘し、「イスラム信者は自身の権利を守るためにも、高すぎるミナレットの建設は断念すべきだ」と語っている。
 また、独ローマ・カトリック教会司教会議議長のツォリチィ大司教は「イスラム寺院建設ではそこに住むキリスト信者への配慮を忘れないで欲しい」とイスラム信者たちに呼びかけている。
 「宗教の自由」という観点からいえば、少数宗派のイスラム信者は自身の信仰を実践する権利がある。ミナレット建設禁止はそれを蹂躙しているという主張は正しい。
 それではアラブ・イスラム諸国の少数宗派、キリスト信者たちの権利はどうだろうか。多くのキリスト信者たちは激しい弾圧下で生きている。アラブの国ではキリスト者たちは教会を建てることすらできない。「イスラム側は自国の少数宗派のキリスト信者の権利を蹂躙しながら、移住先の欧州で自分たちの信仰の自由を叫んでいる」という声が欧州では当然、聞かれる。
 ツォリチィ大司教が指摘するように、「宗教の自由」は基本的人権だが、その権利を要求するだけではなく、居住している地の宗教感情への配慮を忘れてはならないだろう。
 喧騒な現代社会で各自が「権利」を要求すれば、社会が機能できなくなる。「権利」と「権利」の衝突は回避できなくなる。ここで求められているのは相手側の立場を配慮し、自身の「権利」を保留する賢明さではないか。ミナレット論争を取材していて、そのように感じる。

独「神学的動物学研究所」の開講へ

 独のミュンスター大学で今月15日、神学的動物学研究所(Institut Fuer Theologische Zoologie)がオープンする。この種の研究所はドイツでは初めて。
 設立目的は明確だ。科学に基づいた神学上の動物たちの価値を研究することであり、神学的動物学と創造精神の確立を目指す。
 難しいそうに聞こえるが、当方が理解した限りでは、「神の創造物、動物たちの価値」を再確認する学問といえるのではないか。
 研究所責任者は神学者のライナー・ハーゲンコルド氏。評議会員にはミュンスター教区のフランツ・ジョセフ・オーヴァーベック補佐司教も加わっている。生物学者であり、国連平和大使のグダル女史の名前もある。
 朗報だ。妬みと葛藤、紛争と闘争の絶えない人間の歴史とは違い、動物たちの歴史はその内に秘めた規律と本能に基づいた棲み分け原理で共存してきた。
 神学界には一つの問いがある。人間始祖は堕落することでエデンの園から追放されたが、その時、羊や犬たち動物たちもエデンの園から追われたのか、それともエデンの園に留まったか、という問題だ。
 人間は自立するまで一定の期間が必要だ。まだ完成していない存在だ。一方、動物たちは既に完成した存在だ。生まれた直後から自立できる能力を有している。
 喧騒な社会に生きる現代人には動物好きが結構多い。動物に心をひかれるのは、動物たちがその創造目的を完成した存在だからだろう。完成した存在の美しさ、とでもいうべきかもしれない。
 当方も動物好きの1人だ。このコラム欄でも結構、動物、特に、犬について書いてきた(例「愛犬モリッツの3日間断食」2009年9月1日、「愛犬アスカが眠る日」08年12月12日、「サラエボの犬」08年8月16日)。都会住まいの当方は犬を飼うことができないので、犬を飼っている友人や知人が休暇に出かける時、犬の世話係りをして満足している。
 ちなみに、ティセン大司教は同研究所の開設に際して「全ての動物たちはその命名者の人間たちがその責任を担ってくれることを願っている」という内容の歓迎の言葉を贈っている。
 バッハの音楽を聞けば、無神論者も神が分るといわれているが、当方は「動物たちを見れば、神の創造の業の妙を理解できる」と考えている。
 独の「神学的動物学研究所」の開講を歓迎する。

北朝鮮チームのW杯の勝算を占う

 南アフリカで来年開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)の第1次リーグ組み合わせが4日、行われた。日本はオランダ、カメルーン、デンマークとともにE組に入った。日本チームの決勝リーグ入りの可能性については、スポーツ専門紙が詳細に報道しているので、そこに任せるとして、ここでは44年ぶりにW杯に出場する北朝鮮代表チームの見通しを考えてみたい。
 当方は当欄で「北女子サッカー選手と映画祭」(10月16日)というタイトルのコラムを書き、世界ベスト10まで進出した北の女子サッカーを紹介したので、今回は北の男子サッカーについて少し紹介したとしても怒られないだろう。
 北朝鮮はG組だ。第1戦の相手はブラジルだ。ブラジルは過去、5回W杯で優勝した最強国だ。今回も優勝候補国のトップだ。北チームが引き分けに持ち込んだとしても大金星だが、実際は難しいだろう。対ポルトガルも厳しい。クリスティアノ・ロナルド選手などスーパ・スターが揃っている。コードジボワール戦では互角に戦えるかもしれないが、北チームはあくまでも挑戦者だ。
 グループの顔ぶれを見る限り、北朝鮮代表チームのチャンスは小さいが、同国チームを侮ることは禁物だ。1966年のイングランド大会で優勝候補のイタリアを1−0で破り、決勝トーナメントに進出する“奇跡”を実現した国だ。小柄な選手が多いが、そのスピーディーな動きは観客を驚かしたといわれている。今回G組で対戦するポルトガルとは当時、対戦し、3−5で惜敗したが、前半は3−0で先行していたほどだ。
 北朝鮮チームは経済的、政治的理由もあって国際試合を重ねて実力アップするという機会が少ない。大きなハンディだ。ただし、先月5日、平壌の金日成競技場でブラジルのクラブチーム、アトレチコ・ソロカバと親善試合をし、0−0で引き分けている。ただし、サンパウロ州リーグの2部チームだけに、過大評価は出来ない。
 ところで、ウィーンで国連工業開発機関(UNIDO)の総会が開催されたが、平壌から外務省使節団が派遣された。そこで2、3の北朝鮮外交官をつかみ、44年ぶりのW杯参加への抱負を聞くことにした。


 ――ところで、貴国のサッカー代表チームが44年ぶりにW杯に出場するが、一国民として期待を聞かせて欲しい。
A「おいおい、突然、全く関係がないことを聞くなよ。俺は知らない。会議の準備で頭が一杯なのだ。邪魔しないでくれたまえ」
B「君は何を考えているのか。W杯?僕はスポーツのことは知らないよ」
 ――貴国の金正日労働党総書記はサッカーW杯に大きな関心があると聞く。
B「うーん。とにかく、僕は何もコメントできないからね」
A「君、僕たちからコメントを取ろうとしても無駄だよ。とにかく、忙しいから後にしてくれたまえ」


 以上だ。


 6カ国協議の見通しや米朝関係など政治問題は難しいが、W杯の見通しなら北外交官の口元も弛むのではないかと考えていたが、当方の期待は甘かった。
 とにかく、南アフリカ大会では日本代表チームと共に、北朝鮮代表チームの健闘を期待したい。
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Recent Comments
Archives
記事検索
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ