ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

2009年07月

霊界が分れば、自殺者は減る

 日本では自殺者が後を絶えない。このままいくと今年は年間4万人台の自殺者が出るという。オーストリアの小都市の人口に匹敵する人々が自ら命を断つことになる。考えられないほど悲しいことだ。
 日本でも政府レベルで自殺対策が実施され出したというが、自殺者は減らない。米国発の金融危機で世界の経済は深刻な状況にある。倒産する企業や失業者が急増している。OECD(経済協力開発機構)諸国で3000万人の失業者が生まれるという予測もある。取り巻く社会環境の悪化に呼応して、自殺者は増加する。
 当方が住むオーストリアでも自殺者は多い(昨年度の自殺者数は1265人)。特に、首都ウィーン市は世界で最も自殺者の多い都市、という恥ずかしい呼称を受けた時代があった。現在は、世界の他都市の自殺者が増加したこともあって、自殺者の都市ランクでは後退したが、数自体は減少していない。数年前、ウィーンに住む日本人が自殺したことを知った時、当方はショックを受けた。
 政府や国が自殺対策に乗り出すことはいいが、それで自殺者が急減したとは聞かない。誤解を恐れず言わせていただければ、死後の霊界の実相が明らかになれば、自殺者は急減するはずだ。
 人間は肉体だけではなく、霊的な存在であり、死後の世界の存在が理解できれば、誰が自殺するだろうか。
 日本の戦後の教育は宗教の価値や霊界の世界を疎んじてきた。肉体を土台とした唯物主義的な教育が主流を占めてきたからだ。その結果、肉体生活が全て、といった錯覚に陥る人々が増えてきた。彼らは「苦しければ、死ねばいい」と安易に考えてしまう。そうだろうか。
 死んだとしても問題の解決にはならない。そればかりか、霊界にいる自殺者は決して幸せではないのだ。
 霊界の存在が分れば、同時に、肉体生活の重要性も一層、鮮明になる。当方は、霊界の存在を明らかにすることが、最良・最強の自殺対策と信じる。

来年はマザー・テレサ生誕百年

 来年は、貧者の救済の為に生涯を歩んだカトリック教会修道女、マザー・テレサ(1910年〜97年)の生誕100年目を迎える。世界各地で追悼イベントが開催される予定だ。
 マザー・テレサは1979年、修道会「神の愛の宣教者会」を創設して貧者救済に一生を捧げたとしてノーベル平和賞を受賞し、死後は、前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の願いで2003年年10月19日に列福されたことは良く知られている。
 オーストリアのカトリック通信社「カトプレス」が24日、報じたところによると、インド南部カルナータカ州の州都バンガロール市で同国の著名な画家リト・シン氏がマザー・テレサ生誕100年を記念した展示会を開催中という。
 当方は過去、修道女マザー・テレサに関するコラムを当欄で数回、紹介した。テレサ修道女が生前,書いた書簡が公表された時、「マザー・テレサの苦悩」(2007年8月28日)というタイトルのコラムを書いた。
 修道女テレサは書簡の中で、「私はイエスを探すが見出せず、イエスの声を聞きたいが聞けない」「自分の中の神は空だ」「神は自分を望んでいない」といった苦悶を告白し、「孤独で暗闇の中に生きている」と嘆いている。西側メディアは「テレザ、信仰への懐疑」などと、センセーショナルな見出しを付けて報じたほどだ。マザー・テレサの赤裸々な告白は多くのキリスト信者たちにもショックを与えた。
 当方は「マザー・テレサの告白は、神、イエスを求めても答えを得ることが出来ない、“神の沈黙”への嘆きともいえる内容だ。コルカタ(カラカッタ)で死に行く多くの貧者の姿に接し、テレサには『なぜ、神は彼らを見捨てるのか』『なぜ、全能な神は苦しむ人々を救わないのか』等の問い掛けがあったはずだ」と書いた。
 マザー・テレサの書簡は、テレサが決して超人的な信仰者ではなく、悩み苦しみながら神との対話を求めていった1人の修道女の姿を伝えてくれた。マザー・テレサの苦悩を知ることで、当方は改めて修道女の偉大さを知った次第だ。

ドイツで席巻するテクノフォビア

 イスラムフォビア(イスラム教嫌悪)やクリスチャンフォビア(キリスト教嫌悪)とういう言葉は使ったこともあるが、テクノフォビア(Technophobia)という言葉はこれまで知らなかった。
 ニューズウィーク(7月27日号)は表紙タイトルに「テクノフォビア」、その副題に「新しい科学への恐れがドイツを後退させている」といった挑発的な見出しが踊っている。
 特集記事(6ページ)を読むと、ドイツがテクノフォビアの虜(とりこ)であることが紹介されている。原子力発電所からナノ技術、バイオ技術まで未来の趨勢を決定する新しい科学技術に対し、「懐疑や恐怖からそれらを促進できない。そのため、最新科学分野への投資や開発が遅れてきた」という。そのため、多くの優秀な科学者たちは研究開発が自由な米国に移動する現象がみられるわけだ。
 例えば、社会民主党(SPD)と緑の党連立政権時代の2002年、原子力法が改正され、原子炉の閉鎖、原子炉の新規建設禁止などが決定した。ドイツの原子力発電所建設技術は世界の最先端技術を誇っていたが、原子力法の改正で後退を余儀なくされてきた。
 同週刊紙は「ドイツでは数年前まで教科書の中で『コンピューターは職場を奪い、人間社会の正常な対話を疎外する』とコンピューターへの恐れが記述されていた」と指摘している。
 新しいテクノロジーへの警戒心は、環境保護運動家、キリスト教会関係者、そして政治家やジャーナリストたちが扇動してきた経緯があるという。彼らにとって、自然と工業産業の関係は「道徳や政治の問題」と受け取られてきたからだ。
 テクノフォビアは最先端の科学技術開発で遅れをとる一方、雇用の創出を阻止する結果ともなる。そのため、メルケル首相は「新しい先端技術の開拓に躊躇してはならない」と発破をかけているわけだ。
 ちなみに、テクノフォビアはスイスやスウェーデンなど他の欧州でも見られるが、欧州最大の工業国・ドイツでのその現象は、国民経済の発展に大きな足かせとなっているという意味で、深刻な社会問題というべきかもしれない。

高級ヨット購入事件の黒幕・権栄緑氏

 北朝鮮が金正日労働党総書記用としてイタリアの造船メーカー、イジムト社に高級ヨット2隻を注文していたことが発覚し、注文した2隻(約1300万ユーロ、約17億4000万円)とその代金の一部が押収された事件で、ヨットを注文したオーストリアの企業は首都ウィーン市2区にあるモーターボート・サービス会社のS社であり、S社に高級ヨットの購入を依頼した北朝鮮ビジネスマンは、金総書記の秘密資金を運用する部署の労働党資金担当の権栄緑副部長(76)であったことがこのほど明らかになった。
 権氏は、2004年6月末に閉鎖に追い込まれた北朝鮮の欧州唯一の直営銀行「金星銀行」の監査役(実質責任者)として同銀行創業(1982年)以来、関与してきた。また、 権氏は金正日総書記のベンツ購入係といわれ、ウィーン市16区に拠点を置いて欧州を自由に動き回り、ドイツで数百台の高級車ベンツを購入した実績がある。そのため、同氏は独自動車メーカーからVIP扱いされているほどだ。
 一方、S社は過去、北朝鮮とは取引きがあり、高速ボートやモーターなどを北側に輸出してきた。昨年も約100万ユーロ相当のボート部品などを輸出した実績がある。
 オーストリア当局は、北朝鮮に贅沢品などの輸出を禁止した国連安保理決議1718号に違反した疑いがあるとして、外国貿易法違反などでS社の責任者を調べている。一方、権氏は事件の発覚後、警察当局の捜査を回避するため急遽帰国したものとみられる。

北で1人のキリスト者、公開処刑に

 アジア・ニュースが報じたところによると、北朝鮮で6月、聖書を配布したという理由で1人のキリスト信者が公開処刑された。北当局はキリスト教の女性信者を「米国と韓国のスパイだった」と説明している。なお、公開処刑は同国北西部の町で行われ、処刑された女性の夫(33)と3人の子供は政治犯収容所に送られたという。
 北朝鮮では法的には信仰の自由は保障されているが、実際は認められておらず、世界で最悪の宗教弾圧国だ。迫害されるキリスト者救援組織「オープン・ドアーズ」(本部・米カリフォルニア州サンタアナ)の最新報告書によると、7万人のキリスト者が国内30カ所以上の労働収容所に送られている。
 北朝鮮の首都、平壌はかつて“東洋のエルサレム”と呼ばれ、キリスト教活動が活発な時代があったが、故金日成主席が1953年、実権を掌握して以来、同国にいた30万人のキリスト者が消え、当時、北に宣教していた大多数の聖職者、修道女たちは迫害され、殺害された。
 ところで、当方は昔、北朝鮮外交官と「宗教」について語り合ったことがある。その外交官は「俺は無宗教だが、父親は儒教を熱心に信じていたよ」と、亡くなった父親を思いだすように話してくれたものだ。
 また、北朝鮮最高人民会議の金永南常任委員長の息子、金トンホ氏と会食した時だ。同氏は当時、まだ20代後半だったが、食事中、主体思想の素晴らしさを延々語り続けたものだ。当方は少々、辟易したが、「なるほど、北朝鮮の国是・主体思想は一種の宗教だ」という感慨を受けたものだ。
 ちなみに、キリスト者を公開処刑した北朝鮮の朝鮮中央通信社(KCNA)はローマ法王ヨハネ・パウロ2世が2005年4月2日に亡くなった時、朝鮮カトリック協会中央委員会議長の名でバチカン法王庁国務省宛てに弔慰メッセージを送ったことがある。内容は「ローマ法王の突然の死去に深く弔慰します。わが国のカトリック信者たちも平壌の長忠大聖堂でローマ法王追悼礼拝をしています。法王が主イエスと同様に献身的に教会のために尽くされた功績はカトリック教会史と共に永遠に不滅でしょう。法王の永遠のご安息のため祈りを捧げます」というものだった。何と白々しい弔慰文だろう。

気になる記事の「その後」

 当方が今年入って気になる2本の記事がある。朝日新聞が先月16日にトップで報道した「正雲氏極秘訪中」記事と、総額1340億ドル(約12兆8900億円)相当の巨額な米国債を無申告で国外に持ち出そうとしていた2人の邦人がイタリアで拘束されたという事件に関連した記事だ。
 その2本の記事の続報が報じられたとは聞かない。当方は「その後」を知りたくて東京の知人にメールで聞いてみた。ひょとしたら、週刊誌か他のメディアが後続記事を掲載しているかもしれないと考えたからだ。その答えは、上記の2本の記事に関する限り、続報記事や「訂正」記事が出ていないという。
 中国外務省は朝日新聞の金正雲氏極秘訪中記事内容に対し、公式に「そのような事実はない」と否定したが、朝日側はそれに対し何も反応していない。だから、同紙の読者は今でもひょとしたら「正雲氏は訪中し、後継者としての認知を中国側から得た」と信じているのではないか、と他人事ながら心配になる。誤報ならば、最低、読者に対し謝罪すべきだろう。
 朝日側は、英国の大手フィナンシャル・タイムズが数日後、類似した記事内容を報じたことで、心強く思っているのかもしれないが、記事内容の真偽はもちろん、英紙が決定するものではない。当事国の中国当局が公式に数回、否定したのだ。それでも朝日は正雲氏の訪中を信じているのか。
 「ニセ米国債事件」も少々、不可解だ。一時拘束された2人の日本人の身元は旅券を通じて分っているが、日本の公安側は巨額のニセ米国債を所持していた日本人の身元を公表していない。ヤクザ関係者か、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関係者か、よど号関係者か、それとも精神異常者の犯行か。少し調査すれば、判るはずだ。公安側は身元を公表できない事情でもあるのか、と勘ぐりたくなるというものだ。
 米国当局は巨額な米国債が「ニセ」と鑑定したが、「どこで印刷されたか」に関する情報をこれまで公表していないのも不思議だ。

金平一大使、平壌に帰国中

 駐ポーランドの金平一・北朝鮮大使(55)は現在、平壌に帰国中だ。欧州の北朝鮮消息筋が明らかにした。
 金平一大使は故金日成主席と金聖愛夫人との間に生まれた長男。故金主席と正妻・金正淑夫人(故人)との長男、金正日労働党総書記(67)とは異母兄弟の関係になる。
 日韓メディアでは久しく、「金総書記は国内の軍部に寵愛を受ける金大使を好ましく思っていない。だから大使の帰国を許さない」という憶測が報じられてきたが、実際は「金平一大使はほぼ毎年、平壌に帰国している」という。今年も休暇のための帰国とみられる。
 金平一大使は、異母兄の金正日総書記が権力を掌握すると平壌の中央政界から追放され、駐ユーゴスラビアの武官を皮切りに、駐ハンガリー、駐ブルガリア、駐フィンランドの大使職を転々した後、1998年から現在の駐ポーランド大使を務めている。
 ちなみに、実妹(敬淑)の夫、駐オーストリアの金光燮大使は先月末、夏期休暇のために既に帰国中だ。計画に変化がなければ、9月末から10月初めに帰任する。金平一大使も同時期にワルシャワに戻るものと予想される。
 金総書記の健康悪化情報が流れ、同総書記の3男、正雲氏(26)が後継者に内定したといわれる一方、金総書記の妹(敬姫)の夫、張成沢・労働党行政府長の台頭が伝えられる時期だけに、海外駐在の金ファミリー・メンバーの帰国がどのような波紋を投げかけるか、注目される。
 先の北朝鮮消息筋は「わが国は中国のように権力闘争で家族メンバーを粛清する伝統はない。正雲氏が後継者に内定したとしても、海外組の金ファミリーに大きな異変があるとは考えられない」と述べた。

独語か英語か、それが問題だ!

 ローマ・カトリック教会最高指導者、ローマ法王べネディクト16世は9月26日から28日まで3日間の日程でチェコを訪問するが、チェコ滞在中、法王は独語ではなく、英語で話し、記念礼拝はイタリア語で、クラウス大統領との首脳会談だけ独語を使用する考えだと報じられ、チェコ国民は少々困惑している。
 ローマ法王が母国語・独語の使用を自己制限する背景には、第2次世界大戦後、チェコとドイツ両国間で久しく懸案だった、国外追放されたズデーデン地方のドイツ人(ズデーデン・ドイツ人)補償問題を再び想起させたくない、といった配慮が法王側にあるからだと受け止められている。
 チェコ国内に居住していた約250万人以上のドイツ人はナチス・ドイツ軍の敗北後、家や財産をチェコ当局に没収され、国外に追放された。戦後、ズデーデン・ドイツ人はチェコ当局に補償を請求し、チェコ側はそれを拒否してきた経緯がある。
 それに対し、プラハの日刊紙ムラダー・フロンタ・ドネスは「法王はドイツ人だ。記念礼拝に参加する多くの老人たちは英語より独語のほうが理解しやすい。ドイツとチェコ間の問題は既に解決済みだ。バチカン側は不必要な神経を使い過ぎている」(バチカン放送)と、冷静な論評を掲載している。
 当方は先月、当欄で「危険が潜む法王のチェコ訪問」(6月2日)というタイトルで「法王のチェコ訪問は容易な司牧とはならない」と書いた。同国では伝統的にアンチ・カトリック主義が強い。旧共産圏時代に押収された教会財産の返還問題も昨年、解決の見通しが一応ついたが、教会へのチェコ国民の理解は冷たいものがあった。
 べネディクト16世の使用言語の選択に対するバチカン側とチェコ側間の不協和音は、「単なる前奏曲に過ぎない。問題はこれからだ」といった醒めた意見が聞かれるほどだ。

「愛」―「憎悪」―「無関心」

 対北朝鮮への政策をここで少し振り返ってみたい。1つは金大中・盧武鉉時代の10年間続いた太陽政策だ。金大中元大統領は5億ドルの貢物をもって初の南北首脳会談を実現した。その結果、南北両国間の人的流通は頻繁となった。元大統領が韓国人初のノーベル賞を受賞したことで、太陽政策は定着した感がしたほどだ。
 後任の盧武鉉前大統領は元大統領の太陽政策を更に加速する一方、同盟国の米国や日本に対し厳しい姿勢で臨んでいったことはまだ記憶に新しい。
 10年間の太陽政策の結果は、2006年10月と今年5月の北朝鮮の2回の核実験実施となって出てきた。核開発計画の資金がどこから捻出されたかは一目瞭然だ。韓国であり、一部、日本からだ。
 この太陽政策の見直しに乗り出したのが現在の李明博大統領だ。現政権の対北政策は冷戦時代まで続いたイデオロギーを中心とした対立政策の復古ではなく、北側の非核化プロセスの履行に呼応して経済支援をする損益対照表のような実務政策だ。もちろん、太陽政策の恩恵を享受してきた北側からは激しい批判が飛び出してきたことは当然だろう。
 ここにきて新しい対北政策がその輪郭を表した。クリントン米国務長官は20日、米ABCテレビとのインタビューの中で、「北朝鮮は関心をひくために駄々を捏ねる子供だ。関心を示す必要はない」と主張し、対北政策として「無関心」政策を表明したのだ。
 北朝鮮から韓国に亡命した黄長元労働党書記は、「北の言動に応じる必要はない。無視することは最善の対応だ」と語ったことがある。その意味で「無関心」路線は新しくはないが、米国務長官が表明したことで、「無関心」政策が新しい対北政策となる道が開かれたのだ。
 ところで、ノーベル平和賞を受賞した貧者の聖者、マザー・テレサ修道女は生前、「愛の反対は憎悪ではありません。それは無関心です」と述べたことがある。その観点からいえば、「無関心」政策は明らかに従来の「北風」(憎悪)政策とは異なる。
 「憎悪」や「対立」は相手に激しい闘争心を駆り立てさせる。それでは「無関心」はどうか。対象となった相手(国)に最高級の屈辱感を与えるだろう。クリントン国務長官の「無関心」発言が北側に過剰反応を引き起こさせる危険性が考えられるのはそのためだ。
 「無関心」政策が果たして朝鮮半島の非核化を促進し、東アジア地域の安全をもたらすか、その答えは近い将来、明らかになるだろう。

注目される「ラドンの恐怖」

 ラドン(Radon)という言葉を初めて聞いた時、正直いって何のことか分らなかった。その分らない問題に関するプレス・ブリーフィングへの招待メールが届いたのだ。送り人は国連科学委員会(UNSCEAR)だ。当方にはこれまで馴染み薄い委員会だ(同委員会は冷戦時代、核実験による人体への原子放射線の影響を主要テーマとしてきた)。
 国連も7月中旬を過ぎると会議は少ない。国連記者たちにとっても失業者のような日々が続く。そこで「とにかく、参加して聞いてみるか」ということで、出席した。結果は、とても勉強になった。
 核実験による放射能の影響や医療分野で使用される放射性物質の人体免疫システムへの影響などはこれまで研究・調査されてきたが、ここにきて「ラドンの恐怖」が注目されてきたという。
 ラドンは正式には「ラドン222」と呼ばれる気体の放射性物質で自然界に存在する。その物質は呼吸を通じて人体に吸収される。UNSCEARはその放射性物質の人体への被ばく影響を調査してきた。その結果は2006年度レポートにまとめられている。
 W・ヴァイス博士は「ラドンは肺ガンをもたらす原因ともなる。喫煙していた場合、その危険率は更に高まる」と指摘し、「1960年代、70年代は核実験による放射能の人体への影響が大きな問題だったが、将来、ラドンの人体への影響が大きなテーマとなる」と強調した。
 ラドン濃度は地域や社会によって異なるという。一般的には、住居が密集する都市部では高い。高濃度地域は「ウラン鉱山など鉱山地域だ」という。
 ラドンの影響を避けるため、定期的に部屋の空気を入れ替えることが大切といわれてきた。ちなみに、日本の住居内のラドンの平均濃度は世界の平均濃度より低い。空気の流れがいい木造構造の住居が多いからだという。
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