英週刊誌ザ・エコノミストが「バチカンは国家としての外交権を放棄し、非政府機関(NGO)となるべきだ」と要求したばかりだが、国連加盟国の一部からもバチカン市国解体論が再浮上してきている。
世界に約11億人の信者を有する世界最大宗派、ローマ・カトリック教会のバチカン小国は1929年、当時のムソリー二政権との間でラテラノ条約を締結して誕生した。国連には常駐オブザーバーを派遣し、世界の政治にも深く関与してきた。
バチカン市国解体論の背景には、「真理の独占」を主張し、他のキリスト教会を「真のイエスの教会ではない」と宣言するバチカンに対して、プロテスタント教会を中心に根強い反発がある。バチカン法王庁教理省は先月10日、「教会についての教義をめぐる質問への回答」と題された文書を発表し、そこで、イエスの教えを直接継続した弟子ペテロを継承するカトリック教会こそが唯一、普遍の「イエスの教会」であると宣言したばかりだ。この教会論は前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世時代の「ドミヌス・イエズス」(2000年)を再確認したものだ。
それに対し、プロテスタント教会からは「キリスト教会の再統一を妨げる最大要因は真理の独占を主張し続けるバチカンの頑迷さにある」という声が高まってきているわけだ。
バチカン側は必死に反論を展開している。バチカン放送によると、イタリアの神学者ブルーノ・フォルテ氏は「バチカン解体論者にはイデオロギー的偏見がある。バチカン小国を単なる社会機関とできない深い根拠がある。教会は神の愛を体験できる共同体だからだ」と指摘し、バチカン小国が神の愛によって創設されたと弁明している、といった具合だ。
当方のコラムの読者ならば既にご存知と思うが、神の愛を提供すべきカトリック教会は今日、子供たちへの性犯罪の賠償問題で破産に追い込まれている。例えば、米教会では2004年、ポートランド大司教区、アリゾナ州ツーソン教区、ワシントン州スポーケン教区が次々と破産宣言をしたばかりだ。米CNN放送によれば、過去50年間、全米で1万件を超える性的事件が教会聖職者らによって起こされているという。米教会だけではない。欧州のエリート教会でもオーストリア教会最高指導者グロア枢機卿が自分の教え子に性的犯罪を犯したため辞任に追い込まれるなど、カトリック教会聖職者の性犯罪は世界的な現象だ。バチカン解体論の根底には、「神の愛」と「真理の独占」を主張するカトリック教会の「現実」に対し、キリスト者を含む多くの有識者たちの「失望と怒り」があるはずだ。
世界に約11億人の信者を有する世界最大宗派、ローマ・カトリック教会のバチカン小国は1929年、当時のムソリー二政権との間でラテラノ条約を締結して誕生した。国連には常駐オブザーバーを派遣し、世界の政治にも深く関与してきた。
バチカン市国解体論の背景には、「真理の独占」を主張し、他のキリスト教会を「真のイエスの教会ではない」と宣言するバチカンに対して、プロテスタント教会を中心に根強い反発がある。バチカン法王庁教理省は先月10日、「教会についての教義をめぐる質問への回答」と題された文書を発表し、そこで、イエスの教えを直接継続した弟子ペテロを継承するカトリック教会こそが唯一、普遍の「イエスの教会」であると宣言したばかりだ。この教会論は前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世時代の「ドミヌス・イエズス」(2000年)を再確認したものだ。
それに対し、プロテスタント教会からは「キリスト教会の再統一を妨げる最大要因は真理の独占を主張し続けるバチカンの頑迷さにある」という声が高まってきているわけだ。
バチカン側は必死に反論を展開している。バチカン放送によると、イタリアの神学者ブルーノ・フォルテ氏は「バチカン解体論者にはイデオロギー的偏見がある。バチカン小国を単なる社会機関とできない深い根拠がある。教会は神の愛を体験できる共同体だからだ」と指摘し、バチカン小国が神の愛によって創設されたと弁明している、といった具合だ。
当方のコラムの読者ならば既にご存知と思うが、神の愛を提供すべきカトリック教会は今日、子供たちへの性犯罪の賠償問題で破産に追い込まれている。例えば、米教会では2004年、ポートランド大司教区、アリゾナ州ツーソン教区、ワシントン州スポーケン教区が次々と破産宣言をしたばかりだ。米CNN放送によれば、過去50年間、全米で1万件を超える性的事件が教会聖職者らによって起こされているという。米教会だけではない。欧州のエリート教会でもオーストリア教会最高指導者グロア枢機卿が自分の教え子に性的犯罪を犯したため辞任に追い込まれるなど、カトリック教会聖職者の性犯罪は世界的な現象だ。バチカン解体論の根底には、「神の愛」と「真理の独占」を主張するカトリック教会の「現実」に対し、キリスト者を含む多くの有識者たちの「失望と怒り」があるはずだ。