当方のコラムを読んで下さっている読者は既にご存知と思うが、当方のコラムには頻繁に動物が登場する。今回は冷戦時代に西側に亡命してきた2匹の犬の話を紹介したい。
冷戦時代には東欧諸国から多数の亡命者が西側社会に亡命してきた。ところが、チェコスロバキアから2匹のシェパード犬がオーストリアに“亡命”するという事件が起きたことがある。人間も逃げる時代だったから、動物が西側に亡命してきてもおかしくはないが、亡命犬の身元が確認できないために、オーストリア当局は当時、2匹をどのように扱っていいか、頭を痛めたものだ。
亡命者の場合、亡命してきた動機や政治背景を説明すれば、受入国がジュネーブ難民条項に従って、その亡命者を難民として認定するかどうかを決定する。亡命犬の場合も手続きは基本的には同じだと思うが、相手は亡命動機を説明しないから厄介だ。
オーストリアに亡命してきた2匹はどうやらチェコ国境警備犬として長年従事していたらしいことが判明したが、2匹とも極めて凶暴で人を絶対に信じない。そのため、オーストリア国境警備員は手を焼き、チェコ側に2匹の強制送還を打診したが、チェコ側からはいい返事が帰ってこない。
動物愛護精神が強いオーストリアでは、犬を安易には扱えない。それで、この2匹をペットとして社会復帰を図ったが、成果はなく、凶暴性はおさまらない。結局、所有者発見も社会復帰の可能性もなくなった2匹は、獣医の立会いのもとで葬られた。
この話は21年前に実際にあった話だ。
昔から犬は飼い主に忠実であるといわれる。猫とは違って、飼い主を置いて“亡命”したり、家出することはめったにない。それでは、21年前の2匹のシェバード犬を“亡命”に追い込んだのは何だったのだろうか。
冷戦時代には東欧諸国から多数の亡命者が西側社会に亡命してきた。ところが、チェコスロバキアから2匹のシェパード犬がオーストリアに“亡命”するという事件が起きたことがある。人間も逃げる時代だったから、動物が西側に亡命してきてもおかしくはないが、亡命犬の身元が確認できないために、オーストリア当局は当時、2匹をどのように扱っていいか、頭を痛めたものだ。
亡命者の場合、亡命してきた動機や政治背景を説明すれば、受入国がジュネーブ難民条項に従って、その亡命者を難民として認定するかどうかを決定する。亡命犬の場合も手続きは基本的には同じだと思うが、相手は亡命動機を説明しないから厄介だ。
オーストリアに亡命してきた2匹はどうやらチェコ国境警備犬として長年従事していたらしいことが判明したが、2匹とも極めて凶暴で人を絶対に信じない。そのため、オーストリア国境警備員は手を焼き、チェコ側に2匹の強制送還を打診したが、チェコ側からはいい返事が帰ってこない。
動物愛護精神が強いオーストリアでは、犬を安易には扱えない。それで、この2匹をペットとして社会復帰を図ったが、成果はなく、凶暴性はおさまらない。結局、所有者発見も社会復帰の可能性もなくなった2匹は、獣医の立会いのもとで葬られた。
この話は21年前に実際にあった話だ。
昔から犬は飼い主に忠実であるといわれる。猫とは違って、飼い主を置いて“亡命”したり、家出することはめったにない。それでは、21年前の2匹のシェバード犬を“亡命”に追い込んだのは何だったのだろうか。