ドイツ・ベルリンで19日、厳戒態勢下でモーツァルトのオペラ「イドメネオ」が上演された。同オペラでイスラム教の創設者ムハンマドの首などが登場することから、イスラム教徒の反発を警戒し、上演の中止が一時決まっていたが、上演回数を減らすなど特別の対応を講じた末、今回上演された経緯がある。
それに先立ち、欧州では2月、デンマークの新聞にムハンマドを風刺したイラストが掲載されて、イスラム教徒が強く反発するなど、イスラム教徒との衝突が多発してきた。その結果、欧米社会でイスラムフォビア現象(イスラム嫌悪)が広がる一方、イスラム教徒の批判、反発を警戒する余り、行き過ぎた自粛傾向も目立ち始めている。
例えば、英航空会社「ブリティッシュ・エアウェイズ」(BA)が十字架のネックレスをしている職員にネックレスを見えないように指示する一方、英国郵政が宗教との関りを回避するためにクリスマス切手から、キリストを除いたデザインを作成するなど、イスラム教徒らの反発を恐れるばかりに、過剰とも思える対応が行われてきている。
その一方、シンガポールでは今年7月、インターネット上でイエス・キリストを侮辱する内容の漫画が掲載されると、同国警察が即、関係者に厳重注意する一方、エジプトでは人民議会が6月、従来のイエスの生涯を否定する内容の映画「ダ・ヴィンチ・コード」の上演禁止を決めている。その背後には、キリスト系議員からの強い要望があったという。このように、欧米のキリスト教社会だけではなく、イスラム教社会でも、程度の差こそあれ、他宗派(キリスト教)との対立を避けようとする動きがあるわけだ。
これらの自粛は「文明間の衝突」を回避する賢明な対応なのか、表現の自由などの基本的人権を自ら放棄する自殺行為なのか、意見が分かれるとことだろう。
欧州議会で5月、宗教者指導者が参加した会合でバローゾ欧州連合(EU)欧州委員長が「基本的価値観を実践する際、他者の感情への配慮が重要だ」と述べている。その通りだろう。問題は「他者の感情を配慮しつつ、基本的権利(「表現の自由」など)をどのように実践していくか」だ。このテーマは2006年がわれわれに突きつけてきた大きな課題だ。
それに先立ち、欧州では2月、デンマークの新聞にムハンマドを風刺したイラストが掲載されて、イスラム教徒が強く反発するなど、イスラム教徒との衝突が多発してきた。その結果、欧米社会でイスラムフォビア現象(イスラム嫌悪)が広がる一方、イスラム教徒の批判、反発を警戒する余り、行き過ぎた自粛傾向も目立ち始めている。
例えば、英航空会社「ブリティッシュ・エアウェイズ」(BA)が十字架のネックレスをしている職員にネックレスを見えないように指示する一方、英国郵政が宗教との関りを回避するためにクリスマス切手から、キリストを除いたデザインを作成するなど、イスラム教徒らの反発を恐れるばかりに、過剰とも思える対応が行われてきている。
その一方、シンガポールでは今年7月、インターネット上でイエス・キリストを侮辱する内容の漫画が掲載されると、同国警察が即、関係者に厳重注意する一方、エジプトでは人民議会が6月、従来のイエスの生涯を否定する内容の映画「ダ・ヴィンチ・コード」の上演禁止を決めている。その背後には、キリスト系議員からの強い要望があったという。このように、欧米のキリスト教社会だけではなく、イスラム教社会でも、程度の差こそあれ、他宗派(キリスト教)との対立を避けようとする動きがあるわけだ。
これらの自粛は「文明間の衝突」を回避する賢明な対応なのか、表現の自由などの基本的人権を自ら放棄する自殺行為なのか、意見が分かれるとことだろう。
欧州議会で5月、宗教者指導者が参加した会合でバローゾ欧州連合(EU)欧州委員長が「基本的価値観を実践する際、他者の感情への配慮が重要だ」と述べている。その通りだろう。問題は「他者の感情を配慮しつつ、基本的権利(「表現の自由」など)をどのように実践していくか」だ。このテーマは2006年がわれわれに突きつけてきた大きな課題だ。